【続北海道が危ない(下)】「ウイグル自治区化」する北海道
(産経 2016.7.31 01:00)
北海道の日高山脈・十勝幌尻岳の山麓にある
ポロシリ自然公園の隣の山間に
「帯広南の丘 スイス牧場」という看板が
森林に隠れるように立てられている。
看板には小さく
「Shouwa 95nen beginnen」とある。
「Shouwa 95nen beginnen」とある。
森林に覆われ、牧場には見えないが、
建物が数軒、木々に埋もれるように建っている。
建物が数軒、木々に埋もれるように建っている。
入り口とおぼしき林道には
車が出入りした形跡はあるが、
柵が設置され、
「私有地につき立ち入り禁止」の看板が立っている。
車が出入りした形跡はあるが、
柵が設置され、
「私有地につき立ち入り禁止」の看板が立っている。
約2年前に看板に気づいたという地元住民は
「ほとんどの住民は存在すら知らない。
所有者も全く分からない」と話す。
「ほとんどの住民は存在すら知らない。
所有者も全く分からない」と話す。
帯広市農政課と管轄の川西農協も
「名前を聞いたことはないし、全く把握していない」という。
「名前を聞いたことはないし、全く把握していない」という。
一体、だれが何をしているのか。
全てがベールに包まれているが、
小さく看板に書かれた「Shouwa 95nen beginnen」は
こんな推測を広げている。
全てがベールに包まれているが、
小さく看板に書かれた「Shouwa 95nen beginnen」は
こんな推測を広げている。
「昭和95年は2020年。
この年は中国共産党にとって近代化目標年で、
ターニングポイント。
このメッセージに何か意味があるのでは…」
(地元の地方議員経験者)
この年は中国共産党にとって近代化目標年で、
ターニングポイント。
このメッセージに何か意味があるのでは…」
(地元の地方議員経験者)
「場所は分からないが、
中国人が牧場を丸々買ったという話を聞いた」。
中国人が牧場を丸々買ったという話を聞いた」。
こんな証言をする住民は1人や2人ではない。
スイス牧場に中国資本が関与しているか否かの確証はないが、
そんな証言が地方議員経験者の推測に現実味を帯びさせている。
スイス牧場に中国資本が関与しているか否かの確証はないが、
そんな証言が地方議員経験者の推測に現実味を帯びさせている。
日高山脈の麓では、実態の分からない不動産売買が多いという。
帯広市内の牧場経営者はこう証言する。
「山の奥に行くと、家はないはずなのに、
いろいろな家が建っていて、
だれが住んでいるのだろうと驚くことがある。
『あの人は日本人?』という感じの人もいる
。でも、だれが住んでいるのか、
どういうルートで売買されたのか全然分からない」
「山の奥に行くと、家はないはずなのに、
いろいろな家が建っていて、
だれが住んでいるのだろうと驚くことがある。
『あの人は日本人?』という感じの人もいる
。でも、だれが住んでいるのか、
どういうルートで売買されたのか全然分からない」
ドラマ「北の国から」で知られる富良野市。
昨年、北京の不動産開発会社が
南富良野から美瑛までを開発して、
ホテルや別荘、リゾート施設を建設するという
大規模開発計画を同市に持ちかけた。
南富良野から美瑛までを開発して、
ホテルや別荘、リゾート施設を建設するという
大規模開発計画を同市に持ちかけた。
市は大規模開発が農業に影響が出ることを理由に
拒否したという。
拒否したという。
不動産売買情報に詳しい
帯広市内の飲食店経営者は
「富良野市は拒否したからいいが、
どんどん買われているという話を聞く。
国で取り上げてもらわないと解決できない。
何か大きな、強い力が働いているのではないかと、
勘ぐってしまうほど、あり得ないことが起きている」
と警戒感をあらわにする。
帯広市内の飲食店経営者は
「富良野市は拒否したからいいが、
どんどん買われているという話を聞く。
国で取り上げてもらわないと解決できない。
何か大きな、強い力が働いているのではないかと、
勘ぐってしまうほど、あり得ないことが起きている」
と警戒感をあらわにする。
× ×
「売国奴といわせない!」
と大きな活字で書かれたチラシがある。
と大きな活字で書かれたチラシがある。
小樽市の不動産会社「北海道スタイル」
(石井秀幸社長)が作成し配布したものだ。
(石井秀幸社長)が作成し配布したものだ。
同社は6年前に設立、
中国人を中心に北海道の不動産を売却している。
中国人を中心に北海道の不動産を売却している。
石井社長は
「ビザが緩和されて一気に火が付いた。
北京や上海の中国人富裕層が中心で、
2日に1件は契約が成立している。
今年に入って3ケタの物件が売れた。
平均すると1千万円だが、
中には5千万円、1億円というケースもある。
一軒家や土地が多い。
1軒家を別荘として買って、
民泊に使うケースも増えてきた」と話す。
「ビザが緩和されて一気に火が付いた。
北京や上海の中国人富裕層が中心で、
2日に1件は契約が成立している。
今年に入って3ケタの物件が売れた。
平均すると1千万円だが、
中には5千万円、1億円というケースもある。
一軒家や土地が多い。
1軒家を別荘として買って、
民泊に使うケースも増えてきた」と話す。
「売国奴」チラシについては、
「国賊呼ばわりされた」というが、
一方で全国から3千件の問い合わせがあったという。
「国賊呼ばわりされた」というが、
一方で全国から3千件の問い合わせがあったという。
石井社長は「不動産が売れなくて困っている人が多い。
過疎化、高齢化問題も抱えているから、
中国人に売ってもいいと。
国賊呼ばわりした人からも、
同時に『売ってほしい』と相談を受けた」と明かす。
過疎化、高齢化問題も抱えているから、
中国人に売ってもいいと。
国賊呼ばわりした人からも、
同時に『売ってほしい』と相談を受けた」と明かす。
明治から大正にかけて、
先人たちが極寒の地を開拓した北海道。
先人たちが極寒の地を開拓した北海道。
過疎化、高齢化など社会的な問題を背景に
不動産を手放さなければならない現実がある。
不動産を手放さなければならない現実がある。
そこを狙ったかのように
北海道の不動産を買いあさる中国資本。
北海道の不動産を買いあさる中国資本。
「中国人の不動産買収に慣れてしまい、
抵抗感が薄れてしまった感じがする。
先人に申し訳ない気持ちでいっぱいだ」。
多くの道民がこんな感想を漏らした。
抵抗感が薄れてしまった感じがする。
先人に申し訳ない気持ちでいっぱいだ」。
多くの道民がこんな感想を漏らした。
小野寺秀前道議は、
数年前の世界ウイグル会議の
関係者との対談を振り返り、こう話す。
数年前の世界ウイグル会議の
関係者との対談を振り返り、こう話す。
「『今の北海道は、ウイグルによく似ている。
中国人を受け入れると、
じわじわと入ってきてコミュニティーを作っていったが、
あるとき、手のひらを返したように、
本国からあそこの土地は自治区だと。
その瞬間から、それまでいい人だった隣人が
豹変(ひょうへん)した』と話していた」
中国人を受け入れると、
じわじわと入ってきてコミュニティーを作っていったが、
あるとき、手のひらを返したように、
本国からあそこの土地は自治区だと。
その瞬間から、それまでいい人だった隣人が
豹変(ひょうへん)した』と話していた」
ある牧場経営者は
中国資本が跋扈(ばっこ)する北海道の現状に
危機感を募らせる。
中国資本が跋扈(ばっこ)する北海道の現状に
危機感を募らせる。
「このままいけば、子供の代になると、
ここは日本か、という事態になりかねない。
政治家には日本の国が日本じゃなくなってしまうんだ、
という危機感はないのか」
ここは日本か、という事態になりかねない。
政治家には日本の国が日本じゃなくなってしまうんだ、
という危機感はないのか」
元保守系地方議員は
「北海道の現実はがん細胞に似ている。
「北海道の現実はがん細胞に似ている。
いろいろなところに少しずつがんができ、
いつしか増殖。最初の頃は気がつかないが、
気づいたときには末期症状になっている。
速やかで効果的な“治療”が必要だ」と指摘している。
(編集委員 宮本雅史)
いつしか増殖。最初の頃は気がつかないが、
気づいたときには末期症状になっている。
速やかで効果的な“治療”が必要だ」と指摘している。
(編集委員 宮本雅史)