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「中国はうそつきだ」石垣市民の怒り 海保幹部は水平線を見つめつぶやいた

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「中国はうそつきだ」石垣市民の怒り 海保幹部は水平線を見つめつぶやいた…
(1/3ページ)【中国
視船の船尾に掲げられた日の丸が南国の空の下、海風にためいていた=沖縄県石垣市
 
 船尾に掲げられた日の丸が海風を受け、南国の空にはためく。中国当局の船が領海侵犯を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)から約170キロ。石垣島にある石垣海上保安部は尖閣警備の前線基地だ。停泊中の高速巡視船内では乗組員たちがせわしなく動き、24時間態勢で「出動」に備える。
 
 「現場へ急行するには速い方がいいが、船体が軽いからよく揺れる。船酔いする乗組員もいる」
 海保関係者がそう打ち明ける軽合金製の巡視船「よなくに」は27ノット(時速約50キロ)以上の俊足を誇るが、「国境の海」での任務の労苦は並大抵ではない。
 
 30ミリ機関砲や放水銃を備えた甲板から、2隻の巡視船が見えた。それぞれの船体に、「わかさ」と「えとも」の文字。舞鶴(京都府)と小樽(北海道)の海上保安部から派遣された応援部隊だ。
 だが、運用は綱渡りだ。中国漁船によるサンゴ密漁問題で揺れた小笠原諸島(東京都)に加え、北方領土(北海道)や竹島(島根県)周辺など重点警備海域はいくつもあり、海保は「多正面作戦」を迫られている。
 
 平成27年度までに尖閣警備専従の巡視船10隻を配備する計画が進む。今月3日には新造巡視船「かびら」が就役。約600人の海上保安官を配置していくが、海保幹部は水平線を見つめ、つぶやいた。
 「船乗り10年という。人はすぐに育たない。船は増えても人材が足りない」
 
午前8時前、石垣市の漁港に到着した漁船から、氷漬けのキハダマグロがクレーンで水揚げされた。石垣島から南方の波照間島沖合で取れたものばかりだ。
 黒潮が流れる尖閣周辺は「宝の海」と呼ばれてきたが、中国公船が出没する「危険な海」へと変貌。尖閣周辺で操業している日本の船は今、ほとんどない。
 昨年11月には尖閣上空を含む東シナ海に中国政府が一方的に防空識別圏を設定。マグロはえ縄漁船の船長、座波幸次(ざは・こうじ)さん(53)は「近ごろは様子が分からず、尖閣には行かない」と顔をゆがめた。
 マグロはえ縄漁の漁師、下地宏政さん(45)は、豊かな漁場が脅かされているのに何も変わらないことに憤っている。
 尖閣諸島は24年9月、民主党政権下で国有化されたが、一時、島の購入に動いた東京都には、購入や利活用のため、全国から約15億円の寄付が集まった。
 寄付金は具体的な活用策が打ち出されれば国に託すとして、25年3月に基金化されたが、たなざらしのままだ。
 地元の漁業関係者らは船溜(ふなだまり)(避難港)や通信施設の建設を求めているが、下地さんは「誰も動こうとしない」と嘆く。
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 怒りの矛先を昨年4月に締結された日台漁業取り決めに向ける「海人(うみんちゅ)」もいる。1人で漁船を操る漁師の袴田卓さん(31)は「こんなことになるなら破棄した方がいい。すべての漁場をあげたようなものだ」と怒りを隠せない。
 
 

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