「日本は移民に占拠される」20年前に仏政治家が警告していた
2014.10.25
8月にイタリア、フランス、オーストリアに滞在した作家の落合信彦氏は、ヨーロッパの「劣化」を実感したという。治安の悪化、勤労意欲の低下、そして移民受け入れによる文化の衰退。稼ぐ国が稼がない国を養っている状態で、稼ぐ国の国民に蔓延する不満──
8月にイタリア、フランス、オーストリアに滞在した作家の落合信彦氏は、ヨーロッパの「劣化」を実感したという。治安の悪化、勤労意欲の低下、そして移民受け入れによる文化の衰退。稼ぐ国が稼がない国を養っている状態で、稼ぐ国の国民に蔓延する不満──落合氏は、EUが確実に崩壊に向かっていると指摘する。そして、「移民」に関し、移民先進国の政治家が日本に警告していた内容を明かす。
* * *
ヨーロッパがこうした状況に陥ることを早くから予見していた男がいる。フランスの国民戦線党首だったジャン=マリー・ル・ペンである。彼はいまから20年以上も前から、ヨーロッパ統合や移民受け入れの危険性を提唱していた。
本誌1992年5月28日号のインタビューで、彼はこう語っていた。
「私の言っていることは人種差別ではありません。それぞれの国民が生まれた土地のアイデンティティを大事にし、美しさを守るのは他者への尊重と言うべきでしょう? 私が移民に反対するのはそういうことからなのです。
ところが我がフランスでは、社会主義的な考え方から、たとえ不法労働者でも同じように扱うという思想がある。(中略)それどころか失業保険をつけ、教育も医療も補助を受けられる。そうなると自分の国なんか放り出して、何もしなくても100倍のカネが入るフランスに来るわけですから」
私が「日本でも外国人労働者にどう対応していくかということが問題になっている」と持ちかけると、彼は大きく頷きながらこう答えた。
「気を付けなくてはいけない。日本が少しでも気を緩めると移民に占拠されますよ。私は5年前にイタリアの人々に言ったんだ。今のうちに移民対策をプログラムに入れておかなければ駄目だと。いやウチは移民を出すほうだと本気にしなかった。ご覧なさい。150万人の移民が入ってきている。ヨーロッパの一番貧しい国でも第3世界の一番金持ちのところにくらべたら、ずっと上なんです。日本もここからが正念場ですよ」
当時、危険な極右とみられていたル・ペンだが、その後移民の拡大と比例するように支持率を伸ばし、後を継いだ娘のマリーヌ・ル・ペンは、次期フランス大統領の有力候補にまで上り詰めた。
※SAPIO2014年11月号
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ヨーロッパがこうした状況に陥ることを早くから予見していた男がいる。フランスの国民戦線党首だったジャン=マリー・ル・ペンである。彼はいまから20年以上も前から、ヨーロッパ統合や移民受け入れの危険性を提唱していた。
本誌1992年5月28日号のインタビューで、彼はこう語っていた。
「私の言っていることは人種差別ではありません。それぞれの国民が生まれた土地のアイデンティティを大事にし、美しさを守るのは他者への尊重と言うべきでしょう? 私が移民に反対するのはそういうことからなのです。
ところが我がフランスでは、社会主義的な考え方から、たとえ不法労働者でも同じように扱うという思想がある。(中略)それどころか失業保険をつけ、教育も医療も補助を受けられる。そうなると自分の国なんか放り出して、何もしなくても100倍のカネが入るフランスに来るわけですから」
私が「日本でも外国人労働者にどう対応していくかということが問題になっている」と持ちかけると、彼は大きく頷きながらこう答えた。
「気を付けなくてはいけない。日本が少しでも気を緩めると移民に占拠されますよ。私は5年前にイタリアの人々に言ったんだ。今のうちに移民対策をプログラムに入れておかなければ駄目だと。いやウチは移民を出すほうだと本気にしなかった。ご覧なさい。150万人の移民が入ってきている。ヨーロッパの一番貧しい国でも第3世界の一番金持ちのところにくらべたら、ずっと上なんです。日本もここからが正念場ですよ」
当時、危険な極右とみられていたル・ペンだが、その後移民の拡大と比例するように支持率を伸ばし、後を継いだ娘のマリーヌ・ル・ペンは、次期フランス大統領の有力候補にまで上り詰めた。
※SAPIO2014年11月号
総人口の移民割合 ルクセンブルク42.1%、米13.0%、日1.1%
2014.05.19
日本では深刻な少子高齢化の実態を受けてようやく移民受け入れなどの検討が始まったが、世界の国々ではどうなのか。主要国の総人口に占める移民の割合を見てみよう。
ルクセンブルク/42.1%
スイス/27.3%
ルクセンブルク/42.1%
スイス/27.3%
日本では深刻な少子高齢化の実態を受けてようやく移民受け入れなどの検討が始まったが、世界の国々ではどうなのか。主要国の総人口に占める移民の割合を見てみよう。
ルクセンブルク/42.1%
スイス/27.3%
オーストラリア/26.7%
イスラエル/23.9%
ニュージーランド/23.6%
カナダ/20.1%
アイルランド/16.8%
オーストリア/16.0%
スウェーデン/15.1%
スペイン/14.6%
ドイツ/13.1%
アメリカ/13.0%
ノルウェー/12.4%
イギリス/12.0%
フランス/11.6%
オランダ/11.4%
イタリア/9.0%
ロシア/7.9%
日本/1.1%
「OECD International Migration Outlook 2013」より。日本のみ国立社会保障・人口問題研究所「第7回人口移動調査」。
※SAPIO2014年6月号
ルクセンブルク/42.1%
スイス/27.3%
オーストラリア/26.7%
イスラエル/23.9%
ニュージーランド/23.6%
カナダ/20.1%
アイルランド/16.8%
オーストリア/16.0%
スウェーデン/15.1%
スペイン/14.6%
ドイツ/13.1%
アメリカ/13.0%
ノルウェー/12.4%
イギリス/12.0%
フランス/11.6%
オランダ/11.4%
イタリア/9.0%
ロシア/7.9%
日本/1.1%
「OECD International Migration Outlook 2013」より。日本のみ国立社会保障・人口問題研究所「第7回人口移動調査」。
※SAPIO2014年6月号
三橋貴明氏 移民増え日本人5000万人切ったら「日本」でない
2014.05.13
日本では少子高齢化により生産年齢人口が激減、若い世代には社会保障費の負担がのしかかる。一方で年間20万人程度の移民を受け入れれば、現役世代の負担は劇的に減り、人口が下げ止まるなど国力の維持も可能になるという説もある。
日本では少子高齢化により生産年齢人口が激減、若い世代には社会保障費の負担がのしかかる。一方で年間20万人程度の移民を受け入れれば、現役世代の負担は劇的に減り、人口が下げ止まるなど国力の維持も可能になるという説もある。
2006年にアメリカで発表された研究のように、移民の流入による賃金の変化を見た結果、自国民の賃金は実際に上がっていたなど、各種データは移民の必要性を示している。ただし、人の営みはデータだけでは測れないし、国柄の違いも大きい。経済評論家の三橋貴明氏は「日本経済再生に移民は不要」と断言する。
* * *
移民受け入れには断固、反対だ。内閣府の経済諮問会議ワーキング・グループは「少子高齢化で生産年齢人口が減れば経済成長ができない」などと移民受け入れを提唱するが、それは明らかなまやかしだ。生産年齢人口が減っても経済成長はできる。彼らが移民受け入れに積極的なのは、決して「100年後の日本」のためではない。真の狙いは「短期的な外国人労働者の拡充」である。
だが、労働力不足を補う目的で安易に移民を受け入れれば、将来的にさまざまな社会問題が噴出するのは諸外国の例を見ても明らかだ。
たとえば台湾では、馬英九政権が実質的な中国系移民の受け入れを推進した結果、安価な賃金の中国人労働者と台湾人の間で賃金競争が激化し、台湾国民の所得がまったく伸びなくなってしまった。
昨年の台湾の実質賃金は15年前の水準を下回っている。かつては1世帯で3~4人の子供を養えたが、現在は1~2人がやっとという状況だ。
また、台湾における中国系移民の出生率は上がっているものの、全体の出生率は2010年に0.895まで低下した。直近でも1.07という世界最低水準のままである。賃金が上がらない中では子育てする余裕がないからだ。
2006年にアメリカで発表された研究のように、移民の流入による賃金の変化を見た結果、自国民の賃金は実際に上がっていたなど、各種データは移民の必要性を示している。ただし、人の営みはデータだけでは測れないし、国柄の違いも大きい。経済評論家の三橋貴明氏は「日本経済再生に移民は不要」と断言する。
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移民受け入れには断固、反対だ。内閣府の経済諮問会議ワーキング・グループは「少子高齢化で生産年齢人口が減れば経済成長ができない」などと移民受け入れを提唱するが、それは明らかなまやかしだ。生産年齢人口が減っても経済成長はできる。彼らが移民受け入れに積極的なのは、決して「100年後の日本」のためではない。真の狙いは「短期的な外国人労働者の拡充」である。
だが、労働力不足を補う目的で安易に移民を受け入れれば、将来的にさまざまな社会問題が噴出するのは諸外国の例を見ても明らかだ。
たとえば台湾では、馬英九政権が実質的な中国系移民の受け入れを推進した結果、安価な賃金の中国人労働者と台湾人の間で賃金競争が激化し、台湾国民の所得がまったく伸びなくなってしまった。
昨年の台湾の実質賃金は15年前の水準を下回っている。かつては1世帯で3~4人の子供を養えたが、現在は1~2人がやっとという状況だ。
また、台湾における中国系移民の出生率は上がっているものの、全体の出生率は2010年に0.895まで低下した。直近でも1.07という世界最低水準のままである。賃金が上がらない中では子育てする余裕がないからだ。
中国人がスペインで飲食店や風俗店買収し始め地元民に警戒心
2014.06.07
本格的な人口減少とそれに伴う労働人口不足が現実のものとなり、自民党は本格的な移民受け入れ策を検討し始めた。2013年の国連の発表によると、世界の移民人口は2億3200万人(世界人口の3.2%)。それだけの人口が移動すれば様々な効果や軋轢が
本格的な人口減少とそれに伴う労働人口不足が現実のものとなり、自民党は本格的な移民受け入れ策を検討し始めた。2013年の国連の発表によると、世界の移民人口は2億3200万人(世界人口の3.2%)。それだけの人口が移動すれば様々な効果や軋轢が生じる。世界の移民事情はどうなっているのか。
経済危機に見舞われたスペインでは職がなく、移民の多くが他国へ流出している。昨年だけで移民人口は20万人減少した。スペイン政府は外国人の移住に積極的だ。しかし、その中身は労働力ほしさではなく、カネほしさだ。
昨年7月に富裕層外国人から資金を調達し、その見返りに滞在許可証を発行するという法案を可決した。たとえば50万ユーロ(約7000万円)以上の不動産物件を購入した外国人には、海外に残る18歳未満の子と両親にも滞在許可証が発行される。その結果、物件を買い漁る中国人富裕層が急増。法案が可決される以前に中国人はすでに約16万人(国立統計局、2011年)もいた。
最新の統計は未発表だが、それから劇的に増加したのは間違いない。彼らはスペインのレストランやバル、風俗店などを買収しビジネスを始めている。街の様相が変わり、スペイン国民は中国人を警戒している。
※SAPIO2014年6月号
経済危機に見舞われたスペインでは職がなく、移民の多くが他国へ流出している。昨年だけで移民人口は20万人減少した。スペイン政府は外国人の移住に積極的だ。しかし、その中身は労働力ほしさではなく、カネほしさだ。
昨年7月に富裕層外国人から資金を調達し、その見返りに滞在許可証を発行するという法案を可決した。たとえば50万ユーロ(約7000万円)以上の不動産物件を購入した外国人には、海外に残る18歳未満の子と両親にも滞在許可証が発行される。その結果、物件を買い漁る中国人富裕層が急増。法案が可決される以前に中国人はすでに約16万人(国立統計局、2011年)もいた。
最新の統計は未発表だが、それから劇的に増加したのは間違いない。彼らはスペインのレストランやバル、風俗店などを買収しビジネスを始めている。街の様相が変わり、スペイン国民は中国人を警戒している。
※SAPIO2014年6月号