「大中国は日本の助けなど必要としない」 日中友好の緑化基金への出資を拒否?
産経新聞 4月9日(土)12時30分配信
中国の植林支援のため日本政府が創設した「日中緑化交流基金」に対し、支援先の中国が“恩知らず”な態度をとっている。基金目減りに伴い日本政府が事業継続のため中国政府にも資金拠出を求めたが、色よい返事はなし。日中関係改善が進まないため中国政府が拒否したとの情報もあり、中国では「日本の助けはいらない」との声まで上がる。日本は過去に3兆円超もの円借款を拠出したが、反日宣伝の影響で中国ではあまり知られていないという苦い記憶がある。度重なる恩知らずな対応に、日本でも対中支援への異論が噴出し、基金の存在意義も宙に浮きつつある。
■故小渕氏、日中友好願い基金を創設
基金は平成11年に故小渕恵三元首相が提案し、政府が約100億円を拠出して創設したもので、「小渕基金」とも呼ばれる。
中国では当時、長江(揚子江)を中心に多数の死傷者を出した大洪水に見舞われ、治山治水が内政の最重要課題のひとつとなっていた。小渕氏は中国での緑化推進を日中環境協力の柱として重視し、基金の設置が「21世紀へ向けた日中友好の礎」(当時の外務省筋)となることを期待していたという。
事業は日本が主だって実施。民間団体などによる植林緑化運動に資金を提供し続け、26年度までの植林面積は累計で約6万5000ヘクタールに上った。
中国側も成果は認めているようで、昨年8月に中国政府が日本人記者団を招聘(しょうへい)した際には、わざわざ基金を活用していた甘粛省蘭州市にある砂漠の緑化事業の現場に案内した。
冷え込んだ日中関係を改善したい習近平政権の政治的な狙いもあったようだが、中国側はそのとき、記者団に対して「日中の協力関係の成果だ」とアピールしたという。
外務省関係者は、「多くの人が関わってきた。中国は間違いなく事業を重要と受け止めている」と話す。
■中国政府、基金への出資を拒否?
日中友好に一定の効果をあげた基金だが、創設から15年以上がたち、残高は昨年6月時点で約15億円に目減り。事業継続を模索する日本政府は、中国が世界第2位の経済大国の地位にあることなどから共同で事業に取り組むのが望ましいとして、昨年末に中国政府に対して出資を持ちかけた。
だが驚くことに、中国側は日本が働きかけても「今すぐ拠出するのは難しい」との回答を繰り返し、「中国が資金を拠出するめどはたっていない」(政府関係者)という。
日中関係がなかなか改善しないことから、中国政府が手のひらを返すように出資を拒否したとの情報も出ている。
中国国内では、基金に対し否定的な意見が多いようだ。中国情報サイト「レコードチャイナ」によると、インターネット上では「お金の問題ではなく立場、民族としての尊厳の問題だ。大中国は日本の助けなど必要としない」「日本が中国のことに手出しするのはお断り」などの意見が出ているという。
日本政府はとりあえず、中国だけだった事業を日本や第三国にも広げることにして、約90億円を27年度補正予算で計上した。
■止まぬ反日感情、中国人は恩知らず?
日本の対中支援の歴史は長い。中国の改革・開放政策を支援する目的で昭和55年度に始まった円借款は、天安門事件後などに一時凍結されたものの、一貫して中国の経済発展に貢献。平成19年度新規供与分で終わるまでに、総額は約3兆3000億円に上った。
だが当時の中国政府は反日宣伝を繰り返し、「円借款は戦後賠償」などの認識を表明。このため、日本の援助が中国の成長を支えたことはあまり知られていないのが実情だ。中国人の反日感情はいまだ根強い。
せっかく支援しても、ろくに感謝もされない-。日本ではこんな意識が広がり、基金に対しても異論が続出し始めている。ある与党関係者は、「反日宣伝を進める中国を支援する必要はない」と断言する。
また、経済大国に浮上した中国に対し「いまだに日本が中国の植林事業を支援する必要があるのか」といった意見も浮上している。
基金が当初目指したような友好の促進は、期待しにくい状況にもなってきた。そのあり方を考え直す時期にさしかかっているのかもしれない。(中村智●(=隆の生の上に一))
■故小渕氏、日中友好願い基金を創設
基金は平成11年に故小渕恵三元首相が提案し、政府が約100億円を拠出して創設したもので、「小渕基金」とも呼ばれる。
中国では当時、長江(揚子江)を中心に多数の死傷者を出した大洪水に見舞われ、治山治水が内政の最重要課題のひとつとなっていた。小渕氏は中国での緑化推進を日中環境協力の柱として重視し、基金の設置が「21世紀へ向けた日中友好の礎」(当時の外務省筋)となることを期待していたという。
事業は日本が主だって実施。民間団体などによる植林緑化運動に資金を提供し続け、26年度までの植林面積は累計で約6万5000ヘクタールに上った。
中国側も成果は認めているようで、昨年8月に中国政府が日本人記者団を招聘(しょうへい)した際には、わざわざ基金を活用していた甘粛省蘭州市にある砂漠の緑化事業の現場に案内した。
冷え込んだ日中関係を改善したい習近平政権の政治的な狙いもあったようだが、中国側はそのとき、記者団に対して「日中の協力関係の成果だ」とアピールしたという。
外務省関係者は、「多くの人が関わってきた。中国は間違いなく事業を重要と受け止めている」と話す。
■中国政府、基金への出資を拒否?
日中友好に一定の効果をあげた基金だが、創設から15年以上がたち、残高は昨年6月時点で約15億円に目減り。事業継続を模索する日本政府は、中国が世界第2位の経済大国の地位にあることなどから共同で事業に取り組むのが望ましいとして、昨年末に中国政府に対して出資を持ちかけた。
だが驚くことに、中国側は日本が働きかけても「今すぐ拠出するのは難しい」との回答を繰り返し、「中国が資金を拠出するめどはたっていない」(政府関係者)という。
日中関係がなかなか改善しないことから、中国政府が手のひらを返すように出資を拒否したとの情報も出ている。
中国国内では、基金に対し否定的な意見が多いようだ。中国情報サイト「レコードチャイナ」によると、インターネット上では「お金の問題ではなく立場、民族としての尊厳の問題だ。大中国は日本の助けなど必要としない」「日本が中国のことに手出しするのはお断り」などの意見が出ているという。
日本政府はとりあえず、中国だけだった事業を日本や第三国にも広げることにして、約90億円を27年度補正予算で計上した。
■止まぬ反日感情、中国人は恩知らず?
日本の対中支援の歴史は長い。中国の改革・開放政策を支援する目的で昭和55年度に始まった円借款は、天安門事件後などに一時凍結されたものの、一貫して中国の経済発展に貢献。平成19年度新規供与分で終わるまでに、総額は約3兆3000億円に上った。
だが当時の中国政府は反日宣伝を繰り返し、「円借款は戦後賠償」などの認識を表明。このため、日本の援助が中国の成長を支えたことはあまり知られていないのが実情だ。中国人の反日感情はいまだ根強い。
せっかく支援しても、ろくに感謝もされない-。日本ではこんな意識が広がり、基金に対しても異論が続出し始めている。ある与党関係者は、「反日宣伝を進める中国を支援する必要はない」と断言する。
また、経済大国に浮上した中国に対し「いまだに日本が中国の植林事業を支援する必要があるのか」といった意見も浮上している。
基金が当初目指したような友好の促進は、期待しにくい状況にもなってきた。そのあり方を考え直す時期にさしかかっているのかもしれない。(中村智●(=隆の生の上に一))