覚せい剤取締法(かくせいざいとりしまりほう、昭和26年6月30日法律第252号)は、覚せい剤(=覚醒剤)の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、現物及びその原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする日本の法律である(1条)。
刑罰
- 覚せい剤の輸入・輸出・製造 - 1年以上の有期懲役(41条1項)
- 営利目的での上記行為 - 無期又は3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金併科(41条2項)
- 覚せい剤の所持・譲渡し・譲受け - 10年以下の懲役(41条の2第1項)
- 営利目的での上記行為 - 1年以上の有期懲役(41条の2第2項)
- 覚せい剤の使用 - 10年以下の懲役(41条の3第1項1号)
- 覚せい剤原料の輸入・輸出・製造 - 10年以下の懲役(30条の6、41条の3第3項)
- 覚せい剤原料の所持・譲渡し・譲受け・使用 - 7年以下の懲役(30条の7、30条の9、30条の11、41条の4第1項3ないし5項)
- 覚せい剤・覚せい剤原料の没収(41条の8)
薬物四法
- 覚せい剤取締法
- 麻薬及び向精神薬取締法
麻薬及び向精神薬取締法(まやくおよびこうせいしんやくとりしまりほう、昭和28年3月17日法律第14号)は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする法律である(同法1条)。制定時の題名は「麻薬取締法」であったが、1990年(平成2年)の法改正で現在の題名となり、今では通称として使われる。主務官庁は厚生労働省。
第七章 罰則
第六十四条 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十四条の二 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十四条の三 第十二条第一項又は第四項の規定に違反して、ジアセチルモルヒネ等を施用し、廃棄し、又はその施用を受けた者は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
一 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第六十九条第一号から第三号までに該当する者を除く。)
二 麻薬原料植物をみだりに栽培した者
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に該当する者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の二 第二十七条第一項又は第三項から第五項までの規定に違反した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の三 向精神薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、製造し、製剤し、又は小分けした者(第七十条第十五号又は第十六号に該当する者を除く。)は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の四 向精神薬を、みだりに、譲り渡し、又は譲り渡す目的で所持した者(第七十条第十七号又は第七十二条第六号に該当する者を除く。)は、三年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十七条 第六十四条第一項若しくは第二項又は第六十五条第一項若しくは第二項の罪を犯す目的でその予備をした者は、五年以下の懲役に処する。
第六十八条 情を知つて、第六十四条第一項若しくは第二項又は第六十五条第一項若しくは第二項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料(麻薬原料植物の種子を含む。)(第六十九条の四において「資金等」という。)を提供し、又は運搬した者は、五年以下の懲役に処する。
第六十八条の二 第六十四条の二第一項若しくは第二項又は第六十六条第一項若しくは第二項の罪に当たる麻薬の譲渡しと譲受けとの周旋をした者は、三年以下の懲役に処する。
第六十九条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十四条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸入した者
二 第十八条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸出した者
三 第二十一条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬又は家庭麻薬を製造した者
四 第二十三条第一項の規定に違反して、許可を受けないで、麻薬を製剤し、又は小分けした者
五 第二十五条の規定に違反した者
六 第二十九条の二の規定に違反した者
七 第五十一条第一項の規定による業務又は研究の停止の命令に違反した者
第六十九条の二 第六十六条の三第一項又は第二項の罪を犯す目的でその予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
第六十九条の三 第六十四条から第六十七条まで又は前条の罪に係る麻薬又は向精神薬で、犯人が所有し、又は所持するものは、没収する。ただし、犯人以外の所有に係るときは、没収しないことができる。
2 前項に規定する罪(第六十四条の三及び第六十六条の二の罪を除く。)の実行に関し、麻薬又は向精神薬の運搬の用に供した艦船、航空機又は車両は、没収することができる。
第六十九条の四 情を知つて、第六十六条の三第一項又は第二項の罪に当たる行為に要する資金等を提供し、又は運搬した者は、二年以下の懲役に処する。
第六十九条の五 第六十六条の四第一項又は第二項の罪に当たる向精神薬の譲渡しと譲受けとの周旋をした者は、一年以下の懲役に処する。
第七十条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第三項の規定に違反した者
二 第十九条の二の規定に違反した者
三 第二十七条第六項の規定による処方せんの記載に当たり、虚偽の記載をした者
四 第二十九条の規定に違反して麻薬を廃棄した者
五 第三十条第一項から第三項まで又は第三十一条の規定に違反した者
六 第三十二条第一項の規定による譲受証の交付を受けないで、又はこれと引き換えないで麻薬を交付した者
七 第三十二条第一項の規定による譲渡証を交付しないで麻薬を交付した者
八 第三十二条第一項の規定による譲受証若しくは譲渡証に虚偽の記載をし、又は同条第三項に規定する電磁的記録に虚偽の記録をした者
九 第三十二条第三項、第三十三条又は第三十四条の規定に違反した者
十 第三十五条第一項若しくは第二項又は第三十六条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定による届出に当たり、虚偽の届出をした者
十一 第三十七条第一項、第三十八条第一項、第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定に違反して、帳簿を備えず、又は帳簿に記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者
十二 第三十七条第二項、第三十八条第二項、第三十九条第三項又は第四十条第三項の規定に違反して、帳簿の保存をしなかつた者
十三 第四十一条の規定による診療録又は診療簿の記載に当たり、虚偽の記載をした者
十四 麻薬処方せんを偽造し、又は変造した者
十五 第五十条の九第一項又は第二項の規定に違反して、許可を受けないで向精神薬を輸入した者
十六 第五十条の十二第一項若しくは第二項又は第五十条の十三第一項の規定に違反して、許可を受けないで向精神薬を輸出した者
十七 第五十条の十七の規定に違反した者
十八 第五十条の十八において準用する第二十九条の二の規定に違反した者
十九 第五十条の三十九から第五十条の四十一までの規定による命令に違反した者
二十 第五十一条第二項の規定による業務の停止の命令に違反した者
二十一 第五十八条の十九の規定に違反した者
第七十一条 第三十五条第一項若しくは第二項、第三十六条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十九条第二項、第四十条第二項、第四十一条、第五十条の十五第二項又は第五十八条の二第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第十五条又は第十八条第六項の規定に違反した者
二 第四十二条から第四十五条まで、第四十六条第一項又は第四十七条から第四十九条までの規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第五十条の四又は第五十条の七において準用する第四条第三項の規定に違反した者
四 向精神薬処方せんを偽造し、又は変造した者
五 第五十条の十八において準用する第十九条の二の規定に違反した者
六 第五十条の十九の規定に違反した者
七 第五十条の二十二第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
八 第五十条の二十三第一項から第三項までの規定に違反して、記録をせず、又は虚偽の記録をした者
九 第五十条の二十三第四項の規定に違反して、記録の保存をしなかつた者
十 第五十条の二十七の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
十一 第五十条の三十八第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第七十三条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第五十八条の六第一項の規定による精神保健指定医の診察を拒み、妨げ、又は忌避した者
二 第五十八条の六第三項の規定により出頭を求められて出頭せず、又は同項の規定によりとどまることを求められてとどまらなかつた者
三 第五十八条の六第五項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
第七十三条の二 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五十条の四若しくは第五十条の七において準用する第七条第一項若しくは第三項、第五十条の九第三項若しくは第四項において準用する第十五条、第五十条の十二第三項若しくは第四項若しくは第五十条の十三第二項において準用する第十八条第六項、第五十条の十、第五十条の十三第六項又は第五十条の十四の規定に違反した者
二 第五十条の二十四第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第五十条の二十八の規定に違反した者
四 第五十条の二十九から第五十条の三十二まで又は第五十条の三十三第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
五 第五十条の三十四第一項の規定に違反して、記録をせず、又は虚偽の記録をした者
六 第五十条の三十四第二項の規定に違反して、記録の保存をしなかつた者
七 第五十条の三十五において準用する第十九条の二の規定に違反した者
八 第五十条の三十八第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第七十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第六十四条第二項若しくは第三項、第六十四条の二第二項若しくは第三項、第六十五条第二項若しくは第三項、第六十六条第二項若しくは第三項、第六十六条の三第二項若しくは第三項若しくは第六十六条の四第二項若しくは第三項の罪を犯し、又は第六十四条の三第二項若しくは第三項、第六十六条の二第二項若しくは第三項、第六十九条、第七十条から第七十二条まで若しくは前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
第七十五条 第八条(第五十条の四又は第五十条の七において準用する場合を含む。)又は第十条(第五十条の四又は第五十条の七において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
第七十六条 ジアセチルモルヒネ等であるか、第十二条第二項に規定する麻薬であるか、又はこれらの麻薬以外の麻薬であるかを知ることができない麻薬は、この章の規定の適用については、ジアセチルモルヒネ等及び同条第二項に規定する麻薬以外の麻薬とみなす。