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 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼルエンジン車の意図的な排ガス規制逃れが、米国だけでなく欧州にも広がった。ほかの大手メーカーを疑う声も上がり始め、自動車業界全体を巻き込んだ騒動になりつつある。
 「何が起きたのか突き止めるため、VWと懸命に作業を続ける」。独メディアによると、VWが欧州での不正も認めたと明らかにしたドブリント独運輸相は24日、徹底解明にあたる姿勢を示した。
 VWによると、不正の可能性がある車は「EA189」というエンジンを積んでおり、全世界の約1100万台(日本市場はゼロ)が対象だという。
 すでにドイツ以外でも、フランスイタリアなどがVW車などを調査する方針を示している。欧州委員会からの調査要請を受け、ほかの欧州各国も調査に乗り出すとみられる。
 VWのマルティン・ウィンターコルン最高経営責任者(CEO)は23日、不正への関与を否定しつつも辞任の意向を表明。VWは25日に後任人事などを決める予定だ。欧州メディアによるとグループの独高級車メーカー「ポルシェ」のマティアス・ミュラー社長らの名前が挙がっている。
 不正の衝撃は、株式市場にも及んだ。欧米市場ではVWを中心に自動車関連株が売られ、24日の東京株式市場でも傾向は続いた。「販売減の懸念もあり、VWに部品を輸出する企業の株も売られた」(大手証券)という。

■発覚のきっかけは
 不正が最初に発覚したのは、VWが販売を伸ばしたい米国だった。この10年で世界販売台数を2倍にしたVWは、2014年にグループで年1千万台を初突破し、トヨタ自動車と世界一を争っている。ただ、地元欧州や中国などの新興国には強いが、北米では思うように売れていない。
 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、不正発覚のきっかけは、ウェストバージニア大付属機関の研究チームが13年以降、欧州の非営利組織の依頼で欧米メーカーのディーゼル車を調べたことだった。カリフォルニア州で何百キロも走り、汚染物質を計測。結果、VW車の排ガスから異常に多い窒素酸化物(NOx)を検出した。計測をやり直しても、結果は変わらなかったという。