朴氏元側近に国政介入疑惑 揺れる韓国大統領
- 2014/12/5 【ソウル=加藤宏一】朴槿恵(パク・クネ)大統領の元側近で現在は民間人の男性チョン・ユンフェ氏が大統領府の人事など国政に介入しているという疑惑を韓国紙が報じた。その波紋が広がっている。大統領府側は事実関係を否定し、韓国紙の記者らを名誉毀損で告訴。検察は報道の根拠となった内部文書の流出問題で捜査を始めた。この元側近は在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長が大統領と親しい関係にあると報じた人物で、前支局長の裁判にも影響を及ぼす可能性がある。
ソウル中央地検は4日、内部文書を流出させた疑いで、大統領府の元行政官で現在は警察官の男性を事情聴取した。この男性は行政官時代、元側近のチョン氏が朴大統領の最側近3人の秘書官を含む大統領府高官と定期的に会い、大統領秘書室長の交代などを議論していたと記したとされる。
韓国紙・世界日報は11月28日、この内部文書を独自に入手し、チョン氏の「国政介入が事実」だったと報じた。これに対して大統領府側は文書の存在は認めたが、内容に関しては否定した。チョン氏と会合を開いたと報じられた秘書官らが世界日報の社長や記者ら6人を名誉毀損で告訴した。
朴大統領は1日、首席秘書官会議で報道に触れ、「関係者に確認せずに疑惑があるかのように追い立てている」と批判した。国を混乱に陥れるとして、検察に「一点の疑惑もなく、徹底的に捜査して事実を明らかにしてほしい」と要請した。
チョン氏は1日付の中央日報のインタビューで、「2007年に政治家、朴槿恵の秘書室長を辞めてから在野の人間として生活し、国政介入どころか、秘書官らとも連絡を絶った」と主張。だが、3日付の朝鮮日報はチョン氏が4月、朴大統領の最側近の秘書官と電話で話し、内部文書の流出後も連絡をとっていたことが分かったと報じた。
韓国誌の時事ジャーナルは3月、チョン氏が朴大統領の弟である朴志晩(パク・チマン)氏を誰かに尾行させたと報じていた。チョン氏はこの報道を否定し、同誌の記者らを名誉毀損ですでに告訴した。チョン氏は産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長の裁判で、検察が証人申請した人物だ。
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