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 国際的な野生生物保護団体「環境調査エージェンシー」(EIA)は17日、日本国内で象牙の違法な売買をしているとして6業者名を公表した。オークションサイト「ヤフオク!」を使って取引しており、EIAは、サイトを運営するヤフー・ジャパンに象牙製品の取引を禁止するよう求める。
 象牙は1989年のワシントン条約で国際取引が禁止された。国内では、90年1月より前に輸入された象牙については、所有者が1本ごとに環境相に登録すれば、取引できることになっている。登録には、輸入時期のわかる税関の通関書類や家族や知人の証明書類が必要とされている。
 EIAは昨年、調査のため、身分を隠して業者に電話。亡くなった父親が持っていた無登録の象牙を買い取ってもらえるか聞いた。その結果、6業者が「本来はできないが、買い取って名前を一切出さずに登録する」(兵庫県の業者)、「象牙をたくさん持っている方の名前を使う」(広島県の業者)などと答え、象牙の違法な登録や売買ができると答えたという。
 EIAによると、「ヤフオク!」で落札された象牙や象牙製品は、05年の3846件から増加を続け、15年には2万8408件と過去最高だった。落札額も15年が過去最高で7億円を超えた。埼玉県の業者が12~15年に出品した象牙製品の落札総額は1億2千万円以上で、出品重量は6トンを超えると推計されるという。
 種の保存法では全形の象牙のインターネット販売には、登録を受けていることと登録記号番号を表示することが義務づけられている。EIAの説明では、この規制が施行された14年6月以降、「ヤフオク!」に出品された物の半分以上が法律違反の状態だったという。
 EIAは、象牙の違法売買の温床になっているとして、ヤフー・ジャパンに、サイトで象牙の取引を全面的に禁止するよう求める。
 EIAの活動に協力するNPO法人トラ・ゾウ保護基金の坂元雅行弁護士(第二東京弁護士会)は「『ヤフオク!』で取引が増加した時期とゾウの密猟が増加した時期が一致しており、密猟された象牙が日本国内に入ってきている可能性が考えられる。日本が違法な象牙取引の中心地の一つになっている可能性がある」と話す。